争う女たちを見てティムが手を二回叩いて話し出す。
「はいはーい! ケンカしない。順番ね。君はご飯担当。君はスープね」
そう言いながら、女たち一人ずつに料理を一つずつ渡していく。女たちは笑顔で受け取る。
「はい。これでみんな平等でしょ? みんなで仲良く面倒みてあげて。よろしく」
「はーい!」
女たちは皆、笑顔で返事をする。
「おい、ティム――」
ブラッドが話そうとするのを遮って、ティムが言う。
「ブラッドには早く良くなってほしいから。それには安静が一番。安静にするには人の助けがいるでしょ? 今はみんなに甘えるときだよ。じゃ、僕らは下で朝食食べてくるね」
そう言って、アレンの腕をひき部屋を出て行く。
「こんなチャンスもうないかもしれないぞ。美女たちとの朝食楽しめ! ああ、羨ましいなあ」
クレイグは笑いながらそう言って部屋を後にする。ブラッドはベッドの上からドアに向かって叫ぶ。
「おい! 待て、おまえら!」
ブラッドが女たちに視線を向ける。女たちは笑顔でそれぞれ担当の料理を持って、まだかまだかと順番を待っている。
アレンたちは食堂で話をしながら食事をしている。
「なんかブラッドが可哀想だったな」
アレンがつぶやき、クレイグがアレンに言う。
「どこがだ。ハーレムじゃねえか」
「あんなんじゃ気が休まらないよ」
「まあ、ちょっと意地悪だったかもね。ブラッドがいっつも自分勝手だからついね」
ティムが言う。
「そうかもしれないけど、あれもみんな俺たちやアイリスのこと考えてだよ」
「気にしすぎなんだよ。あれくらいで良くも悪くもなんねえよ。それより調子いい奴らだなって腹立つけどな」
クレイグがつぶやく。
「だね。でも、真面目な話。僕らが近くにいれない以上、人手はあった方がいいと思う」
ティムがアレンに言う。
「確かにブラッドは無理しがちだもんな……」
「まあ、あいつが大人しくするタイプならいいけどな」
クレイグが天井を見上げて言う。
一人残されたブラッドは険しい顔つきでベッドに座っている。スープを持った女がブラッドの口元にスプーンを持っていくが、ブラッドは顔を背けて言う。
「帰れ」
「だめよ。遠慮しないで」
隣にいた女が割って入る。
「じゃあ、私が――」
「全員帰れ」
ブラッドはにらみつけるように女たちを見て言う。
「きっと気恥ずかしいのね」
女が微笑んで言う。
「おまえらは何でここにいるんだ。強い男が好きだからか?」
「直球ー。クールなのね」
「意地悪ー。言わせるなんて。でも、誰だってそうでしょ?」
女たちが照れながら言う。
「だったら馬賊のとこ行け」
「ひどい! どうしてそんなこと言うの?」
「強かったら誰でもいいんだろ。俺はあばずれ女に興味はない」
怒った女がコップの水をブラッドの顔にかけて言う。
「最低!」
そう言って女は部屋から出て行く。残った女たちも次々と持っていた料理を置いて出て行く。すれ違いでケイが部屋に入ってくる。ケイはブラッドに近づき、首にかけていたタオルでブラッドの濡れた顔を拭きながら言う。
「あんたも言うね。泣いてた子いたよ。気持ちはわかるけどさ。私もああゆう女は嫌い。頼る気満々で、自分で何とかしようって気がない奴。他人を盾かなんかだと思ってんだよ」
「なんかこのタオル冷たいな」
「ああ、さっき風呂入って髪拭いたから」
ブラッドは眉をひそめ、顔を背けて言う。
「もういい」
「ま、今は怪我人なんだから悪態つくのもほどほどにね。当分はこの街にいるんだからさ」
そう言って、ケイはブラッドの前に食事を持ってくる。
アレンたちが食事を終えてコーヒーを飲んでいたとき、二階から女たちが泣きながら降りてきて宿屋を出て行くのが見えた。その様子を見たクレイグが言う。
「ほらな」
「泣かさなくても……可哀想」
ティムがそう言ったのを聞いて、アレンが言う。
「ティムのせいだよ。あのとき帰ってもらってたら傷つかなかったのに」
「はーい。ごめんなさい」
「それより、そろそろ出ようぜ」
クレイグが言い、二人は急いでコーヒーを飲み干す。そして出発の準備を始める。3人はケイとブラッドに別れを言い、街を後にする。
「はいはーい! ケンカしない。順番ね。君はご飯担当。君はスープね」
そう言いながら、女たち一人ずつに料理を一つずつ渡していく。女たちは笑顔で受け取る。
「はい。これでみんな平等でしょ? みんなで仲良く面倒みてあげて。よろしく」
「はーい!」
女たちは皆、笑顔で返事をする。
「おい、ティム――」
ブラッドが話そうとするのを遮って、ティムが言う。
「ブラッドには早く良くなってほしいから。それには安静が一番。安静にするには人の助けがいるでしょ? 今はみんなに甘えるときだよ。じゃ、僕らは下で朝食食べてくるね」
そう言って、アレンの腕をひき部屋を出て行く。
「こんなチャンスもうないかもしれないぞ。美女たちとの朝食楽しめ! ああ、羨ましいなあ」
クレイグは笑いながらそう言って部屋を後にする。ブラッドはベッドの上からドアに向かって叫ぶ。
「おい! 待て、おまえら!」
ブラッドが女たちに視線を向ける。女たちは笑顔でそれぞれ担当の料理を持って、まだかまだかと順番を待っている。
アレンたちは食堂で話をしながら食事をしている。
「なんかブラッドが可哀想だったな」
アレンがつぶやき、クレイグがアレンに言う。
「どこがだ。ハーレムじゃねえか」
「あんなんじゃ気が休まらないよ」
「まあ、ちょっと意地悪だったかもね。ブラッドがいっつも自分勝手だからついね」
ティムが言う。
「そうかもしれないけど、あれもみんな俺たちやアイリスのこと考えてだよ」
「気にしすぎなんだよ。あれくらいで良くも悪くもなんねえよ。それより調子いい奴らだなって腹立つけどな」
クレイグがつぶやく。
「だね。でも、真面目な話。僕らが近くにいれない以上、人手はあった方がいいと思う」
ティムがアレンに言う。
「確かにブラッドは無理しがちだもんな……」
「まあ、あいつが大人しくするタイプならいいけどな」
クレイグが天井を見上げて言う。
一人残されたブラッドは険しい顔つきでベッドに座っている。スープを持った女がブラッドの口元にスプーンを持っていくが、ブラッドは顔を背けて言う。
「帰れ」
「だめよ。遠慮しないで」
隣にいた女が割って入る。
「じゃあ、私が――」
「全員帰れ」
ブラッドはにらみつけるように女たちを見て言う。
「きっと気恥ずかしいのね」
女が微笑んで言う。
「おまえらは何でここにいるんだ。強い男が好きだからか?」
「直球ー。クールなのね」
「意地悪ー。言わせるなんて。でも、誰だってそうでしょ?」
女たちが照れながら言う。
「だったら馬賊のとこ行け」
「ひどい! どうしてそんなこと言うの?」
「強かったら誰でもいいんだろ。俺はあばずれ女に興味はない」
怒った女がコップの水をブラッドの顔にかけて言う。
「最低!」
そう言って女は部屋から出て行く。残った女たちも次々と持っていた料理を置いて出て行く。すれ違いでケイが部屋に入ってくる。ケイはブラッドに近づき、首にかけていたタオルでブラッドの濡れた顔を拭きながら言う。
「あんたも言うね。泣いてた子いたよ。気持ちはわかるけどさ。私もああゆう女は嫌い。頼る気満々で、自分で何とかしようって気がない奴。他人を盾かなんかだと思ってんだよ」
「なんかこのタオル冷たいな」
「ああ、さっき風呂入って髪拭いたから」
ブラッドは眉をひそめ、顔を背けて言う。
「もういい」
「ま、今は怪我人なんだから悪態つくのもほどほどにね。当分はこの街にいるんだからさ」
そう言って、ケイはブラッドの前に食事を持ってくる。
アレンたちが食事を終えてコーヒーを飲んでいたとき、二階から女たちが泣きながら降りてきて宿屋を出て行くのが見えた。その様子を見たクレイグが言う。
「ほらな」
「泣かさなくても……可哀想」
ティムがそう言ったのを聞いて、アレンが言う。
「ティムのせいだよ。あのとき帰ってもらってたら傷つかなかったのに」
「はーい。ごめんなさい」
「それより、そろそろ出ようぜ」
クレイグが言い、二人は急いでコーヒーを飲み干す。そして出発の準備を始める。3人はケイとブラッドに別れを言い、街を後にする。
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