Licht en schaduw

「Novel」
四銃士

22.アリオト砂漠

 3人はアリオト砂漠を駆けている。周囲は植物がほとんどなく、砂地が広がり時折大きな岩がある。ティムがアレンに聞く。

「ずーっと同じ景色だけどあってる? わかんなくなりそう」

「大丈夫。あってるよ」

 クレイグがアレンに言う。

「なあ、もうだいぶ走りっぱなしだし休憩しようぜ」

「そうだね」

 3人は大きな岩のそばに腰かけて休憩する。クレイグが鞄からサンドイッチを出し、二人に渡しながら言う。

「これ、レナからだ」

 ティムが受け取りながら言う。

「レナってあの踊り子の? 僕らにまで?」

「旅の理由言ったら応援したいってさ。俺のおかげだぞ。感謝して食えよ」

「そうだったんだ。ありがとう」

 アレンはそう言ってサンドイッチを食べる。クレイグもサンドイッチを食べながらアレンを見る。

「でも、ケイがブラッドの元に残るとはな。残れって言ってもついてくると思ったよ」

「そうなの? なんで?」

 アレンが不思議そうに聞く。クレイグが呆れたように言う。

「おまえに惚れてるからに決まってんだろ」

「えっ⁉ ないない。どこでそうなるんだよ」

「相変わらず鈍いな。ずーっとおまえにべったりだったじゃねえか」

「そう? 普通だと思うけど」

「でも、あの様子じゃブラッドに乗り換えやがったな」

 ティムが話に割って入る。

「そうかなあ。僕はアレンのために残ったんだと思うな。アレンの心配を少しでも取り除いてあげようって心遣いだと思う」

「なるほどな」

 クレイグとティムが話している隣で、アレンは遠くの景色を見ながら静かにサンドイッチを食べていた。すると遠くの方で土煙が立っているのが見えてアレンが指をさして二人に話しかける。

「あれ見て。なんだろ」

 二人はアレンのさす方を見て、クレイグが言う。

「竜巻だろ」

「風ないのに? あの辺はあるのかなあ」

 アレンは不思議そうに言う。

「そうなんじゃねえの」

 ティムが遠くをじっと見つめて言う。

「なんか……近づいてきてない?」

 3人が土煙をじっと見つめていると、3匹の中型の恐竜が土煙を上げてこちらへ走ってきていた。驚いた3人は慌てて立ち上がり、馬に乗って駆け出した。

「やっべ! 恐竜なんか聞いてねえぞ!」

 クレイグが後ろを確認しながら言う。

「竜巻じゃないじゃん!」

 ティムがクレイグに向かって言う。

「知るか!」

 3人は必死に逃げるが、恐竜たちは追いかけてくる。だんだん距離を詰められることに危機感を感じたクレイグが腰の銃を抜き、恐竜に向けて数発撃ちこむ。しかし、恐竜たちはひるむことなく追いかけてくる。一番後方を走っていたティムの馬に恐竜が今にも噛みつきそうだ。

「追いつかれる!」

 ティムが剣を抜いて、恐竜の頭を切りつけようとするが皮膚が固く効果がない。恐竜はティムに飛びかかり、ティムは落馬してしまう。

「ティム!」

 アレンが叫ぶ。恐竜たちはティムに次々と襲いかかる。恐竜の鋭い爪がティムの腕を切り裂く。アレンとクレイグは慌てて馬を止め、クレイグが背中に下げていたライフルを構え、恐竜に向けて撃つ。ティムに噛みつこうとしていた恐竜の首元に命中し、恐竜はその威力に吹き飛ぶ。その隙にティムは立ち上がり剣を構え、襲いかかる恐竜を剣で防ぎ蹴り飛ばす。クレイグはティムを狙うもう一匹の恐竜に狙いを定める。アレンはクレイグの様子を見て、ティムの元へと馬で駆け出す。クレイグが恐竜に向けて発砲し、ティムから離れた隙にアレンがティムに近づき、ティムを自分の後ろに乗せて走り去る。クレイグも後に続き駆け出す。

「ありがとう」

 ティムはアレンに礼を言って、指笛を吹く。すると遠くにいたティムの馬が近づいてきてアレンと並走をする。ティムは走りながら馬に飛び移る。残った一匹の恐竜が逃げる3人の後を追ってくる。後方を走っていたクレイグに飛びかかろうとしたとき、クレイグがライフルを撃ち恐竜に命中する。3人はそのまま走り去り無事に逃げ切るのだった。

「見たか俺の腕前!」

 クレイグが笑顔で二人に言う。

「さすが!」

 ティムが笑顔で言う。アレンが心配そうに尋ねる。

「ティム怪我は? 大丈夫?」

「大丈夫だよ。とりあえずハンカチ巻いとくよ」

「今日はどこで休むつもりだ? 野宿なんか危なくてできねえぞ」

 クレイグがアレンに言う。

「安全なとこ探さないとね」

 アレンが周囲を見渡しながら言ったとき、ティムが突然遠くを指さして叫んだ。

「アレン! 誰か倒れてる!」

 ティムはその方へと駆け出し、アレンたちも後を追いかける。
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