ブラッドが静かにベッドで座っていると、階段を駆け上がる足音がして、勢いよくドアが開けられる。ブラッドが驚いて振り返ると、息を切らしたケイが険しい表情で部屋に入ってきた。
「早かったな」
ケイはブラッドに駆け寄り、ブラッドを縄で縛り動けなくする。
「おい! 何やってん――」
「しっ! 黙って!」
ケイはそう言ってブラッドの口をガムテープで塞いだ。ブラッドは縄から逃れようともがくが、きつく縛られていてほどけそうにない。ケイは二丁の銃を腰に差し、ブラッドを担ぐ。警戒しながら宿屋を出ると、街は騒然としていた。ケイは馬小屋のドアを開け中へ入り、高く積まれた藁の後ろにブラッドを隠すように座らせる。
「ごめん、手荒なことして。奴らが来たんだ。あんたはここでじっとしてて。私が片付けてくるから」
ブラッドはもがいて縄をほどこうとし、ケイに向かって何かを言っているが、口が塞がれていて何を言っているのかわからない。
「わかってる。ボッコボコにしてくるよ。後で迎えに来るから大人しく待ってなよ」
ケイはそう言って、腰の銃を抜き小屋を出て行く。外からは悲鳴と銃声がしている。ブラッドは眉をひそめ、息を荒げてその場に倒れこんだ。
ケイは市場まで来ていた。店は壊され、たくさんの人々が倒れている。倒れている人に近づき安否を確認するが皆死んでいる。
「きゃあ!」
近くで女性の悲鳴がした。ケイは悲鳴のした方に向かった。すると馬賊が女の腕を引き、連れ去ろうとしていた。ケイは馬賊の男を撃ち、男はその場に倒れる。女は急いでその場から逃げていく。すると銃声を聞きつけた数人の馬賊が駆けつけてくる。ケイは身をひそめて全ての馬賊を撃った。
広場では宿屋の女将と息子が馬賊に捕まっている。頭目の男が女将に話しかける。
「これがおまえの息子だな?」
女将は震えながら答える。
「は、はい。そうです」
「傷一つないのはどういうことだ?」
「そ、それは……」
部下の男が息子の頭に銃を突きつけて言う。
「ぶっ殺されてえのか!」
「や、やめとくれ! 息子だけは! あれは――」
「母さん!」
女将が話そうとするのを遮るように息子が叫ぶ。すると頭目の男が息子を殴りつけて言う。
「おまえは黙ってろ。それで?」
女将は心配そうに息子をチラッと見てから、声を震わせながら話し始める。
「あ、あれは旅のお方で、うちのお客さんだったんだ」
「じゃあ何で宿に居ねえんだ」
「わ、わからないよ。ほんとだよ。あたしが見たときは客室にちゃんと居たんだ」
「ほんとだな? 隠し立てするとどうなるかわかってるよな?」
「ほ、ほんとさ! か、彼は怪我をしているからそう遠くへは行ってないはずだよ」
「そうか。それで名は?」
「ブラッド。そう言っ――」
広場に銃声が響く。女将が話終わる前に頭目が女将を銃で撃ち殺した。驚いた息子が女将に駆け寄る。
「母さん!」
息子は涙を流し、女将を抱きかかえている。頭目の男が息子に言う。
「俺も鬼じゃねえ。女将の最後の願いに免じておまえは生かしてやる」
頭目の男は周囲にいる部下たちに言う。
「ブラッドだ。さっさと探せ! 俺の部下を可愛がってくれた礼はたっぷりさせてもらうぞ」
部下の男たちはそれぞれ分かれて駆け出した。その様子をケイは隠れて見ていた。
「あのババア、全部喋っていきやがった」
ケイは倒れた女将を見てつぶやき、その場を離れる。
ケイと離れてしばらく経った頃、ブラッドは壁のすき間を見つけ外の様子を見ていた。数人の街人が倒れているのが見えた。どこからか悲鳴や銃声が聞こえる。そのとき逃げるように一人の男が駆けてきて目の前で転んだ。馬賊の男が男の背後からゆっくりと歩いて近づいてくる。
「た、助けてく――」
街人の男が命乞いをしようとするが、願いも空しく撃ち殺された。ブラッドは目を背ける。賊の男が天に向かって叫ぶ。
「ブラッドー! どこに隠れやがった!」
そのとき、また銃声が響く。ブラッドが外の様子を見ると、馬賊の男は倒れ、ケイが銃を構えて立っていた。そしてケイが銃を下した瞬間、背後から何者かに撃たれて倒れてしまう。ブラッドが驚いて周囲の様子を見ていると、数人の馬賊の男たちと頭目の男がケイに近づくのが見えた。ケイは起き上がろうとするが、馬賊に捕まり銃を奪われて両手を縛られてしまう。ケイの肩に血が滲んでいる。頭目はケイに近づき品定めするようにいやらしい目つきで上から下まで見る。
「まだ、こんな美人が残ってたか。おまえはブラッドとか言う――」
ケイは頭目の顔に唾を吐きかけて言う。
「知っててもおまえなんかに言わねえよ。クソ野郎」
「か、頭あ! このクソ女!」
部下の男がケイを殴ろうとするが、頭目の男が止める。そして顔を拭いて言う。
「いい度胸だ。連れていけ」
部下に合図をし、男たちがケイを連れて行ってしまう。ブラッドは縄を解こうともがくが、解けずに疲れてその場に倒れこむ。そのとき、ドアが開く音がして、誰かが小屋に入ってきた。靴音が近づいてくる。
「早かったな」
ケイはブラッドに駆け寄り、ブラッドを縄で縛り動けなくする。
「おい! 何やってん――」
「しっ! 黙って!」
ケイはそう言ってブラッドの口をガムテープで塞いだ。ブラッドは縄から逃れようともがくが、きつく縛られていてほどけそうにない。ケイは二丁の銃を腰に差し、ブラッドを担ぐ。警戒しながら宿屋を出ると、街は騒然としていた。ケイは馬小屋のドアを開け中へ入り、高く積まれた藁の後ろにブラッドを隠すように座らせる。
「ごめん、手荒なことして。奴らが来たんだ。あんたはここでじっとしてて。私が片付けてくるから」
ブラッドはもがいて縄をほどこうとし、ケイに向かって何かを言っているが、口が塞がれていて何を言っているのかわからない。
「わかってる。ボッコボコにしてくるよ。後で迎えに来るから大人しく待ってなよ」
ケイはそう言って、腰の銃を抜き小屋を出て行く。外からは悲鳴と銃声がしている。ブラッドは眉をひそめ、息を荒げてその場に倒れこんだ。
ケイは市場まで来ていた。店は壊され、たくさんの人々が倒れている。倒れている人に近づき安否を確認するが皆死んでいる。
「きゃあ!」
近くで女性の悲鳴がした。ケイは悲鳴のした方に向かった。すると馬賊が女の腕を引き、連れ去ろうとしていた。ケイは馬賊の男を撃ち、男はその場に倒れる。女は急いでその場から逃げていく。すると銃声を聞きつけた数人の馬賊が駆けつけてくる。ケイは身をひそめて全ての馬賊を撃った。
広場では宿屋の女将と息子が馬賊に捕まっている。頭目の男が女将に話しかける。
「これがおまえの息子だな?」
女将は震えながら答える。
「は、はい。そうです」
「傷一つないのはどういうことだ?」
「そ、それは……」
部下の男が息子の頭に銃を突きつけて言う。
「ぶっ殺されてえのか!」
「や、やめとくれ! 息子だけは! あれは――」
「母さん!」
女将が話そうとするのを遮るように息子が叫ぶ。すると頭目の男が息子を殴りつけて言う。
「おまえは黙ってろ。それで?」
女将は心配そうに息子をチラッと見てから、声を震わせながら話し始める。
「あ、あれは旅のお方で、うちのお客さんだったんだ」
「じゃあ何で宿に居ねえんだ」
「わ、わからないよ。ほんとだよ。あたしが見たときは客室にちゃんと居たんだ」
「ほんとだな? 隠し立てするとどうなるかわかってるよな?」
「ほ、ほんとさ! か、彼は怪我をしているからそう遠くへは行ってないはずだよ」
「そうか。それで名は?」
「ブラッド。そう言っ――」
広場に銃声が響く。女将が話終わる前に頭目が女将を銃で撃ち殺した。驚いた息子が女将に駆け寄る。
「母さん!」
息子は涙を流し、女将を抱きかかえている。頭目の男が息子に言う。
「俺も鬼じゃねえ。女将の最後の願いに免じておまえは生かしてやる」
頭目の男は周囲にいる部下たちに言う。
「ブラッドだ。さっさと探せ! 俺の部下を可愛がってくれた礼はたっぷりさせてもらうぞ」
部下の男たちはそれぞれ分かれて駆け出した。その様子をケイは隠れて見ていた。
「あのババア、全部喋っていきやがった」
ケイは倒れた女将を見てつぶやき、その場を離れる。
ケイと離れてしばらく経った頃、ブラッドは壁のすき間を見つけ外の様子を見ていた。数人の街人が倒れているのが見えた。どこからか悲鳴や銃声が聞こえる。そのとき逃げるように一人の男が駆けてきて目の前で転んだ。馬賊の男が男の背後からゆっくりと歩いて近づいてくる。
「た、助けてく――」
街人の男が命乞いをしようとするが、願いも空しく撃ち殺された。ブラッドは目を背ける。賊の男が天に向かって叫ぶ。
「ブラッドー! どこに隠れやがった!」
そのとき、また銃声が響く。ブラッドが外の様子を見ると、馬賊の男は倒れ、ケイが銃を構えて立っていた。そしてケイが銃を下した瞬間、背後から何者かに撃たれて倒れてしまう。ブラッドが驚いて周囲の様子を見ていると、数人の馬賊の男たちと頭目の男がケイに近づくのが見えた。ケイは起き上がろうとするが、馬賊に捕まり銃を奪われて両手を縛られてしまう。ケイの肩に血が滲んでいる。頭目はケイに近づき品定めするようにいやらしい目つきで上から下まで見る。
「まだ、こんな美人が残ってたか。おまえはブラッドとか言う――」
ケイは頭目の顔に唾を吐きかけて言う。
「知っててもおまえなんかに言わねえよ。クソ野郎」
「か、頭あ! このクソ女!」
部下の男がケイを殴ろうとするが、頭目の男が止める。そして顔を拭いて言う。
「いい度胸だ。連れていけ」
部下に合図をし、男たちがケイを連れて行ってしまう。ブラッドは縄を解こうともがくが、解けずに疲れてその場に倒れこむ。そのとき、ドアが開く音がして、誰かが小屋に入ってきた。靴音が近づいてくる。
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